黒部ルート見学会

関西電力が主催し富山県が協賛する「黒部ルート見学会」に当選した為、去る10月31日(水)、行って参りました。

●西滑川駅→宇奈月温泉駅
西滑川駅6時13分発の、電鉄富山発宇奈月温泉行富山地方鉄道本線103普通列車(2両、ワンマン)に乗車。座席は約1/4程度埋まっており、早朝の割には意外と乗客があり、途中の小駅でも意外と乗降がある。乗客は漸増。新魚津駅で可也入れ替わりがあるが、多くの乗客は終点迄乗り通す。

●宇奈月駅→欅平駅
103普通列車は7時9分、定刻通り宇奈月温泉駅に到着。西滑川‐宇奈月温泉駅間の運賃は1,260円であるが、この日は水曜日なので、「環境回数券」が使用出来る。100円券13枚綴りで1,000円であるから、実質運賃983円である。それにしても営業キロ33.5㎞で1,260円は高い。旅客鉄道会社(JR)本州3社の幹線なら、同距離で570円である。
時間があるので、足湯「おもかげ」へ行く。早朝とあり、誰もいない。水温は40℃と丁度良い湯加減である。
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7時57分発の、宇奈月始発欅平行黒部峡谷鉄道本線普通列車(1000形6両+2000形6両、計12両)に乗車。定刻通り発車。小生は普通客車(開放型客車)である1000形に乗車。1号車を指定されたが、他に乗客はいない。2号車以降には乗客がいるが、疎らである。軌間762㎜の特殊狭軌(ナローゲージ)で、急カーブが多く速度は非常に遅い。表定速度は16㎞/hである。それにしても寒い。道理で普通客車に乗客が少ない訳である。特別客車である2000形(窓及び暖房付で座席は固定式クロスシート、特別料金360円が別途必要)に乗車している人が多いのであろうか。黒部峡谷鉄道と申し上げると、ぎゅうぎゅう詰というイメージしか無かったが、この日は実に快適である。然し、寒い。使い捨て懐炉を持っていないと、とてもではないが耐えれない。
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山々は一部紅葉しているが、本格的な紅葉にはやや早い様である。尚、小生が黒部峡谷鉄道を利用するのは8年振り3回目である(過去2回は何れもも宇奈月‐欅平駅間の単純往復)。
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●欅平駅→欅平下部駅
9時12分、定刻通り欅平駅に到着。改札口を出ると、係員が待ち構えている。9時半に2階の欅平駅食堂に集合との事である。それ迄の間、駅周辺を回る。
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9時半から、欅平駅食堂にて簡単な説明を受け、列車に乗車。此処からは見学会終了迄、終始ヘルメット着用が必須である。
欅平駅は黒部峡谷鉄道本線の終着駅であるが、実際には線路は更に500m南の欅平下部駅迄延びている。欅平‐欅平下部駅迄トロッコ列車に乗車。利用する車両は宇奈月‐欅平間を走行している通常の旅客列車の特別客車である。参加者30人が3両に分かれて乗車。本来は関西電力の物資輸送の為に利用されている為、関西電力の職員も違う車両に何名か乗車している。

●欅平下部駅→欅平上部駅
約3分の乗車で、欅平下部駅に到着。この先は高低差が大きく鉄道の敷設が困難である為、鉄道車両毎乗せる事が出来る竪坑エレベーターで200m上る。最大積載量4,500㎏と日本最大の巻き上げ能力を誇るオーチス社製エレベーターである。
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●欅平上部駅→黒部川第四発電所前駅
約2分の乗車で、欅平上部駅に到着。此処で一旦展望台に案内される。山々は丁度紅葉している。
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此処からは、関西電力黒部専用鉄道のバッテリートロッコ列車に乗車する。これが所謂「上部軌道」である。黒部峡谷鉄道本線より上にある為、上部軌道と呼ばれるのである。駅には御丁寧に駅名標と時刻表が設置されている。定期列車は1日4往復設定されている。1両の定員は僅か10人、然も10人乗車すれば可也ぎゅうぎゅう詰となる。座席はロングシートである。黒部川第四発電所前駅迄6.5㎞、32分の乗車である。只管トンネル内を走行する。
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途中、「高熱隧道」と呼ばれる超高温区間がある。この区間での工事は相当難航したそうである。現在では導水管等の敷設により温度は下がったがものの、それでも約40℃という高温地帯であり、車内も相当蒸し暑くなる。この附近では窓硝子が曇って来る。その為、各窓硝子には手動のワイパーが設置されており、車内から手で動かして曇りを取る。
仙人谷駅附近で黒部川を渡る為、上部軌道で唯一外に出る。丁度仙人谷ダムが見える。
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●黒部川第四発電所前駅→インクライン上部駅
黒部川第四発電所前駅で下車。ここでバッテリートロッコ列車を降り、黒部川第四発電所(所謂黒四発電所)の説明を受ける。水力発電所と申し上げると、ダムの近くにある小屋の様な建物を連想するが、同発電所は地下式発電所である。これは、同発電所が国立公園にある事から、自然環境を守る為地下式にしたそうである。従って、どれだけ外から一生懸命眺めても同発電所を見る事は出来ない。
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同発電所は、昭和31年7月から7年掛けて、延べ1,000万人の人手と約513億円(現在のお金の推計で約1兆4,000億円)の費用が投入されたそうであるが、これだけの大工事・難工事にも拘らず、発電量は原子発電所1基分にしか相当しないそうである。これなら、原発1基造った方が、場所も取らないし自然環境も破壊しないし良さそうである。尤も、原発は放射能漏れという危険性も全く無いとは言い切れないから、リスク分散の為に水力発電所が存在するのも悪くはないのであろうが。
1時間弱説明を受けた後、黒部川第四発電所前駅からインクラインに乗車。インクラインとは傾斜鉄道と訳されるが、ケーブルカー(鋼索鉄道)の事である。但し、ケーブルカーは旅客用なのに対し、インクラインは産業用の鋼索鉄道の事を指す。インクライン上部駅迄距離は815mであるが、高低差は約450mもある。この間10分掛けて上っていく。途中、インクライン同士の交換も行われる。
因みに、黒部川第四発電所前駅と申し上げると、平成14年(2002年)12月31日、日本放送協会(NHK)が放送した「紅白歌合戦」という番組で、シンガーソングライターの中島みゆき氏が「地上の星」を歌った事で知られている。インクライン乗車中、この番組を見た事が無い人の為にという事で、何と当時のビデオが上映される。小生は普段一切NHKを視聴しないので、当然これを見るのは始めてである。

●インクライン上部駅→黒部ダム駅
インクライン上部駅からはバスに乗り換え、黒部トンネルを走行。一路最終目的地である黒部ダム駅に向かう。10.3㎞を40分掛けて走行する。
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そして12時45分頃、黒部ダム駅に到着。約3時間に渡る「黒部ルート見学会」が終了した。ここで解散となる。

●黒部湖駅→黒部平駅
当然の事ながら、黒部湖から欅平への後戻りは出来ない。黒部ダム駅から大町経由で帰るか立山経由で帰るか迷ったが、紅葉を期待して立山経由で帰る事とする。黒部ダムを眺めた後、黒部湖駅に移動。
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黒部湖駅にて立山駅迄の片道乗車券を購入。日本自動車連盟(JAF)会員割引で5,920円となった。普通運賃が6,560円であるから、640円の割引であり、可也大きい。然し、クレジットカードは一切使用出来ないとの事である。附近には現金自動預払機(ATM)も無い様な所である。一大観光地なのであるから、クレジットカード位使用出来る様にすべきである。今時クレジットカードも使用出来ない様では、時代錯誤と言わざるを得ない。
13時20分発の、黒部平行立山黒部貫光鋼索線(黒部ケーブルカー)に乗車。黒部ケーブルカーは凡そ20分毎の運行である。営業キロ0.8㎞、高低差373m、最急勾配31°を5分掛けて走行する。定員130名のケーブルカーは満席で、立客も相当数おり、首都圏の通勤ラッシュを彷彿させる。平日にも拘らず、この混雑とは信じられない。観光地に来て迄ラッシュ並の混雑は御免である。もう少し混雑緩和は図れない物であろうか。
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●黒部平駅→大観望駅
 13時25分、定刻通り黒部平駅に到着。待ち時間の間に、簡単に昼食を取る事とする。「そばコーナー」で白海老天麩羅蕎麦を戴く。立食い蕎麦であるが、白海老天麩羅をその場で揚げるので、カリカリとしていて香ばしく、実に美味い。
 13時40分発の、大観望行立山黒部貫光立山ロープウェイに乗車。此方も凡そ20分毎の運行である。定員80名であるが、殆どのロープウェイがそうである様に座席は10席も無く、必然的に立席となる。此方も物凄い混雑である。平日だから何とか全員乗車出来るが、土休日ともなるとこの立山ロープウェイがボトルネックとなり、駅は大混雑となる。定員130名の黒部ケーブルカーからの乗換が定員80名の立山ロープウェイ、然も同じ20分毎の運行だから、繁忙期には乗車し切れないのは当たり前である。定員を合わせるべきである。1,710m、高低差488mを、7分20秒掛けて走行する。
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●大観望駅→室堂駅
 13時47分、定刻通り大観望駅に到着。「大観望」というだけあり、展望台からの黒部ダムを望む景色は圧巻である。
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 14時15分発の立山黒部貫光無軌条電車線(立山トンネルトロリーバス)に乗車すべく改札口に並ぶが、駅員は改札開始迄並ばないでくれと言う。小規模な土産物屋と展望台位しかない小駅で、並ばずして何をしろというのであろうか。結局並ぶしかない。
 定刻通り発車。立山トンネルトロリーバスは、平成8年4月23日、従来のディーゼルバスから転換して誕生した。小生が最後に立山トンネルを通ったのが平成5年頃であるから、トロリーバス転換後初めての乗車となる。運転士は「出発、進行!」等と指差呼称をし、正に鉄道宛らである。この8000形無軌条電車はVVVFインバータ制御であるから、尚更である。日本のトロリーバスは鉄道事業法が適用される為であろう。営業キロ3.7㎞、高低差134mを10分掛けて走行する。4台続行運転となる。途中、信号所で交換が行われる。
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小生は日本国内でトロリーバスに乗車するのは始めてである。外国では何度か乗車した事があるが、カナダのバンクーバーやスイスのチューリヒ、ニュージーランドのウェリントン等、全て都市交通としてのトロリーバスである。然も、外国のトロリーバスでは指差呼称何ぞ行わない。

●室堂駅→美女平駅
14時25分、定刻通り室堂駅に到着。
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室堂に来たら、どうしてもみくりが池温泉に入りたくなる。みくりが池温泉は標高2,430mに位置する日本最高所の温泉として余りにも有名であるが、泉質も単純硫黄泉と実に素晴らしい温泉である。入湯料は600円と設備の割に高めであるが、場所が場所だけに致し方あるまい。湯は白濁しており、硫黄の臭いがぷんぷんする。

入浴しておると、50歳代位の男性に「何処から来たの?」と声を掛けられる。「黒部ダムの方から」と答えると、男性「いやいや、黒部ルート見学会からずっと一緒なんだよ。」と言う。何と、小生は気付かなかったが、この男性、黒部ルート見学会でも一緒で、此処迄全く同じ乗物で来ているのである。男性は神奈川県から来たとの事で、翌日は下呂経由で帰るそうである。
みくりが池温泉から室堂駅に戻る。みくりが池は実に綺麗である。遊歩道脇には若干雪が積もっている。標高2,500mの高地故、少し階段を上っただけで息切れする。
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室堂駅15時40分発の、美女平駅行立山黒部貫光立山高原バスに乗車。此方も数台の続行運転となる。立山高原バスは40分毎の運行である。走行距離23㎞、高低差は1,473mもある。室堂迄は何度も来た事があるので、立山高原バスの乗車も何度もあるが、この日は実に天気が良く、然も最前列の座席に着席する事が出来たので、流れ行く景色は実に素晴らしい。ただ、着席したのが進行方向左側だった為、滝見台から称名滝は余り良く見えなかった。尚、小生が乗車したバスはハイブリッドバスである。
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●美女平駅→立山駅
16時30分の定刻より約5分早く、美女平駅に到着。直ぐに、16時40分発の、立山行立山黒部貫光鋼索線(立山ケーブルカー)に乗換。座席は全て埋まり、相当数の立客も出る。1.3㎞、高低差502mを7分掛けて走行する。立山ケーブルカーは20分毎の運行である。向かいの座席に着席している50歳代と思われる女性は、韓国からの観光客である。韓国からも多くの観光客が立山黒部アルペンルートを訪れる様になった物である。それにしても、此方も結構な混雑である。定員は120名。平成15年(2003年)に新型車両が導入され、車両が大型化されたかと思いきや、全然車両は大きくなっていない。従って、美女平・立山各駅の繁忙期の混雑は全く改善されていない。何故新型車両導入と同時に車両の大型化を図らなかったのであろうか。
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●立山駅→寺田駅
16時47分、定刻通り立山駅に到着。直ぐに、17時17分発の、立山始発電鉄富山行富山地方鉄道立山線338普通列車(14760形2両、ワンマン)に乗換。西滑川駅迄の運賃は1,260円。環境回数券を利用し、窓口で乗車券を購入。定刻通り発車。座席は半分も埋まっていない。毎度の事ではあるが、立山黒部アルペンルートは立山駅からは乗客が激減する。尚、この14760形には、運転席上部に液晶ディスプレイが設置されており、運賃表示の他、系統図等が表示される。富山ライトレールTLR0600形に採用されている物と同一の形である。但し、TLR0600形同様、英語表示は無い。

●寺田駅→西滑川駅
338普通列車は17時59分、定刻通り寺田駅に到着。1分の接続で宇奈月温泉行急行列車の接続があるが、急行列車は西滑川駅を通過する為、誠に遺憾ながら乗車出来ない。致し方無く、ホームで次の列車を待つ事とする。18時20分発の、電鉄富山発電鉄黒部行61普通列車(14760形2両、ワンマン)に乗車。定刻より数分遅延して発車。座席は半分以上埋まっている。無人駅を含め、各駅で結構下車客がいる。
そして18時38分、定刻より数分遅延して西滑川駅に到着。

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この記事へのコメント

2008年01月06日 20:50
こちらではお久し振りです。

黒部ルート見学会、参加されたんですか、羨ましい!!
この会は何度応募しても参加できない方が多いようで、普通の人が入れない秘密基地的存在ですから、大いに興味をそそられる所です。
(中には、余程の強運の持ち主で、何度も参加されている方も居られるそうです)

しかしアルペンルートも平日でこんな混雑とは、恐れ入ります。
なかなか見られない景色を見るのに、都市部の通勤電車並みの混雑は、興醒めですね。
2008年01月06日 21:10
コメント有難うございます。小生、黒部ルート見学会の応募は今回が初めてだったのですが、倍率3倍以上の難関を通過し運良く当選しました。今年は立山砂防見学会に挑戦してみようと思います。
アルペンルートは首都圏のラッシュ並の混雑ではありましたが、初めてダイヤ通り接続し予定通りの時刻の乗物に乗車する事が出来ました。繁忙期だと乗車待ちが発生して接続もうまく行きませんからね。
暗黒四天王リーダー・メフィラス
2008年02月06日 01:45
 北陸三県の自然で、川(一級河川)は富山がダントツで
湖・潟は福井が素晴らしく、山は(富山の人達には申し訳ありませんが)石川県の白山が一番(二番は立山)でしょう。
 ただ,建物については,富山の小矢部市が有名な建物の小型版が多くあります。
 しかし、福井県には丸岡城や永平寺などの古い和風建築の建物は勿論,有名ですし、福井県庁も城跡の名残が残っていますが、滑川さんが福井市に行ったとき一度観て貰いたい建物として「福井地方裁判所」です。
 市のランドマークになっている「格好いい」建物です。

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